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肺高血圧症の臨床分類

1973年に肺高血圧症の定義が提唱されて以来、臨床分類は改訂を重ね、現在は「ダナポイント分類」が主に使用されています。
表中のをクリックすると詳細説明をご覧いただけます。


肺動脈性肺高血圧症(PAH)

特発性肺動脈性肺高血圧症 (IPAH)

IPAHは従来、原因不明で放置すれば予後は極めて不良の、しかも有効な治療法が無い疾患として知られてきました。しかし、発症にかかわる新しい知見が近年相次いで報告され、種々の治療薬が臨床応用可能となり、肺移植による治療も実施されつつあります。

各疾患に伴う肺動脈性肺高血圧症

・結合組織疾患
主に膠原病性の血管疾患に伴って発症する肺高血圧症です。病態改善のための治療は、内科的には血管拡張薬、強心薬、抗凝固薬などがあります。これらの投与は、特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)または慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の治療指針に準じて行われます。また、ステロイド薬や免疫抑制薬の投与が有効であったとの報告もあります。

・先天性心疾患
先天性心疾患により、中等度以上の左右短絡が持続した結果生じるもので、適切な時期に根治術を行って肺血流を正常化させれば、肺高血圧は可逆的に治癒します。しかし、手術が不可能な症例や、手術時期が遅れた症例では、肺動脈の閉塞性病変が進行して非可逆的となり、左右短絡の減少と右左短絡の増加による慢性的なチアノーゼが生じます(Eisenmenger症候群)。

左心性心疾患による肺高血圧症

急性心不全や、慢性心不全などの後天性左心疾患にともなう二次性の肺高血圧です。それぞれの原疾患に対する治療ガイドラインに則った治療を優先することで、肺高血圧症状の軽減、治癒が期待できます。

肺疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

COPDによる肺機能低下から、肺高血圧症が合併すると考えられています。COPDに対する治療もかねた酸素療法(在宅酸素療法)は有効性が証明されている治療法でが、CO2ナルコーシスを来たす可能性があるので、流量の設定・管理には注意が必要です。ほかにも、肺移植や血管拡張薬、一酸化窒素(NO)の吸入療法、リハビリテーション、禁煙等の治療が試みられています。

間質性肺炎(IP)

間質性肺炎の病態が進行すると、肺高血圧症を合併する場合があります。安定して効果のある治療法は確立されていませんが、在宅酸素療法やPDE5阻害薬のシルデナフィルが有効であるとの報告があります。

睡眠呼吸障害

睡眠時無呼吸症候群に代表される睡眠呼吸障害の「AASM分類」

①閉塞型睡眠時無呼吸低呼吸症候群(OSAHS)
②中枢型睡眠時無呼吸低呼吸症候群(CSAHS)
③チェーン・ストークス呼吸症候群(CSBS)
④睡眠時低換気症候群(SHVS)

のうち、OSAHSとSHVSでは肺高血圧を合併することが報告されています。OSAHSに合併した肺高血圧症では、OSAHSの治療により肺高血圧症状の軽減が期待されます。一方、SHVSに合併した肺高血圧症に対する治療効果の検討は、十分に行われていません。

肺胞低換気障害

肺胞低換気症候群において肺高血圧を合併することが報告されています。肺胞低換気症候群は、ほぼ正常の肺機能でありながら慢性の高炭酸ガス血症をきたす症候群で、原因により、中枢性と原発性に分類されます。

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)

慢性肺血栓塞栓症は、器質化した血栓により肺動脈が慢性的に閉塞した疾患の総称で、なかでも器質化血栓により狭窄・閉塞した肺動脈の範囲が広く、肺高血圧症を合併した症例が「慢性血塞栓性肺高血圧症」(厚生労働省・特定疾患)です。 手術(肺血栓内膜摘除術)や抗凝固療法などによりQOLや生命予後の改善が得られる症例が存在するため、正確な診断と治療方針の決定が重要とされます。


社団法人日本呼吸器学会: 肺高血圧症治療ガイドライン(2006年改訂版)より 一部改変

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